うさぎを飼い始めた多くの方が最初に悩むのが牧草選びではないでしょうか。ペットショップや通販サイトで牧草を探していると、一番刈り、二番刈り、三番刈りといった表記を目にすることがあります。これらは同じ牧草でも刈り取り時期によって栄養価や食感が大きく異なるため、うさぎの年齢や体調に合わせて適切に選ぶ必要があります。
チモシーやアルファルファといった代表的な牧草品種についても、それぞれ異なる特徴を持っているため、基本的な知識を身につけることで、愛するうさぎにより良い食事環境を提供できるでしょう。
本記事では、うさぎの牧草における品種の違いから、刈り取り時期による栄養価の変化、さらには年齢別の選び方まで詳しく解説していきます。これらの知識を活用することで、あなたのうさぎに最適な牧草を見つけることができるはずです。
この記事でわかること
- チモシーとアルファルファの基本的な違い
- 一番刈り・二番刈り・三番刈りの特徴と栄養価
- 刈り取り時期による見た目や食感の変化
- うさぎの年齢に応じた適切な牧草選びの方法
うさぎの牧草品種と基本的な特徴

チモシーとアルファルファの違い
うさぎの牧草を選ぶ際、最も重要なのがチモシーとアルファルファの違いを理解することです。これらは植物の分類上、全く異なる科に属しており、栄養成分にも大きな差があります。
チモシーはイネ科の牧草で、正式名称をオオアワガエリといいます。この牧草の最大の特徴は、高い繊維質を含みながらも低タンパク、低カルシウムという点にあります。具体的には粗繊維が約30%以上含まれており、粗タンパク質は10%程度となっています。
一方、アルファルファはマメ科の牧草で、チモシーとは対照的に高タンパク、高カルシウムの特徴を持ちます。粗タンパク質は15%以上、カルシウムも1%以上含まれており、栄養価の高さが際立っています。
これらの違いから、チモシーは成体のうさぎの主食として適している一方、アルファルファは成長期の仔うさぎや妊娠・授乳期の母うさぎに適した牧草となっています。アニコム損保によると、成体のうさぎにアルファルファを与えすぎると肥満や軟便の原因となる可能性があるため、注意が必要です。
イネ科とマメ科の栄養価の特徴
牧草の栄養価を理解するためには、イネ科とマメ科という植物分類の違いを知ることが重要です。これらの分類は、うさぎの健康管理において基本的な知識となります。
イネ科の牧草は、一般的に繊維質が豊富で低カロリーという特徴を持ちます。チモシーを例にとると、粗繊維は30%以上含まれている一方、粗タンパク質は10%程度、カルシウムも0.3%以下と控えめです。このような栄養構成により、うさぎの消化器官に負担をかけずに必要な繊維質を供給できます。
マメ科の牧草であるアルファルファは、窒素固定能力を持つ植物特有の高タンパク質が特徴的です。粗タンパク質は15%以上、カルシウムも1%以上含まれており、成長に必要な栄養素を豊富に含んでいます。ただし、これらの栄養価の高さは、成体のうさぎには過剰となる場合があります。
うさぎのしっぽによると、イネ科の牧草は消化に時間がかかるため、うさぎの盲腸発酵を適切に促進し、健康的な消化を支援する効果があります。一方、マメ科の牧草は消化が早く、すぐにエネルギーとして利用されるため、活発な成長期には適しているものの、運動量の少ない成体には不向きとされています。
牧草の刈り取り時期による分類方法
牧草の刈り取り時期による分類は、同じ品種でも全く異なる特徴を持つ牧草を作り出します。この分類システムを理解することで、うさぎの好みや健康状態に合わせた適切な選択が可能になります。
一番刈りは、春から初夏にかけて最初に刈り取られる牧草です。この時期の牧草は、冬の間に蓄えられた栄養を十分に含み、茎も太く長く成長しています。そのため、繊維質が最も豊富で、栄養価も高くなっています。
二番刈りは、一番刈りの後に再生した牧草を夏から秋にかけて刈り取ったものです。一番刈りと比較すると、茎は細く短くなり、葉の割合が増加します。このため、食感が柔らかくなり、うさぎの嗜好性が向上する特徴があります。
三番刈りは、二番刈りの後にさらに再生した牧草を刈り取ったものです。最も柔らかく、葉の割合が高くなる一方で、繊維質と栄養価は最も低くなります。なみき動物病院によると、三番刈りは食欲が低下したうさぎや高齢のうさぎに適している場合があります。
この分類システムは、同じ牧草畑から時期を変えて収穫することで、異なる特徴を持つ牧草を効率的に生産する方法として確立されています。
うさぎの牧草における刈り取り時期の違い

一番刈り牧草の特徴と栄養価
一番刈り牧草は、うさぎの主食として最も適した特徴を持つ牧草です。春から初夏にかけての成長期に刈り取られるため、植物が最も充実した状態で収穫されます。
栄養価の面では、粗繊維が30%以上含まれており、この高い繊維質がうさぎの消化器官の健康維持に重要な役割を果たします。また、粗タンパク質は10%程度と適度で、カルシウムも0.3%以下と控えめなため、成体のうさぎの日常的な栄養需要を満たしながら、過剰摂取による健康リスクを回避できます。
見た目の特徴として、一番刈り牧草には大きな穂と太くて長い茎が含まれています。葉も幅広で長く、全体的にしっかりとした構造を持っています。これらの特徴により、うさぎが自然に近い咀嚼運動を行うことができ、歯の健康維持にも貢献します。
食感は硬めで、うさぎによっては最初は好まない場合もありますが、うさぎ舎によると、適切な歯の摩耗と消化器官の健康のためには、この硬さが必要不可欠とされています。
保存性にも優れており、適切に保管すれば長期間品質を保つことができます。これは、茎が太く水分含有量が低いためです。
二番刈り牧草の食感と嗜好性
二番刈り牧草は、一番刈りと三番刈りの中間的な特徴を持つ牧草です。夏から秋にかけて刈り取られるため、一番刈りよりも柔らかく、食べやすい特徴があります。
栄養価については、粗繊維が25%程度、粗タンパク質が12%程度と、一番刈りよりもやや繊維質が少なく、タンパク質がやや多くなっています。この栄養バランスにより、一番刈りを食べにくいうさぎや、食欲が低下気味のうさぎにも適しています。
見た目の特徴として、二番刈り牧草には穂がほとんど含まれておらず、茎も一番刈りより細くなっています。葉の割合が多くなるため、全体的に柔らかそうな印象を与えます。色合いも一番刈りよりも緑色が濃く、新鮮な印象があります。
食感の柔らかさは、多くのうさぎにとって好ましいものです。EXTOLEVELの調査によると、一番刈りを食べ残すうさぎの約70%が二番刈りを好んで食べることが分かっています。
ただし、繊維質が一番刈りより少ないため、二番刈りのみを与え続けると、歯の摩耗不足や消化器官の機能低下を引き起こす可能性があります。そのため、一番刈りと組み合わせて使用することが推奨されています。
三番刈り牧草の柔らかさと繊維質
三番刈り牧草は、最も柔らかく食べやすい特徴を持つ牧草です。二番刈りの後に再生した牧草を刈り取るため、茎は非常に細く、葉の割合が最も高くなります。
栄養価では、粗繊維が20%程度、粗タンパク質が14%程度と、刈り取り回数の中では最も繊維質が少なく、タンパク質が多くなっています。この特徴により、消化が良く、栄養の吸収効率が高いという利点があります。
見た目は、ほとんどが葉で構成されており、茎もごく細いものしか含まれていません。色合いも最も緑色が濃く、まるで生の野菜のような新鮮さを感じさせます。穂は全く含まれておらず、全体的に均一な細かさを持っています。
食感の柔らかさは、歯の弱った高齢のうさぎや、手術後で食欲が低下したうさぎにとって非常に有効です。うさぎとわたしによると、三番刈りは療養食としての役割も果たすことができます。
しかし、繊維質の不足は重要な問題となります。三番刈りのみを長期間与え続けると、うさぎの消化器官の機能低下や、歯の伸びすぎといった健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、三番刈りは特別な状況下での使用に留めることが重要です。
刈り取り時期による見た目の変化
牧草の刈り取り時期による見た目の変化は、栄養価や食感の違いを視覚的に判断するための重要な指標となります。これらの変化を理解することで、購入時に適切な牧草を選択できるようになります。
一番刈り牧草の見た目は、最も多様性に富んでいます。長い茎、大きな葉、立派な穂が混在しており、まさに自然の草原を彷彿とさせる外観を持っています。茎の太さは2-3mm程度で、長さも30cm以上のものが多く含まれています。葉の幅も広く、全体的に力強い印象を与えます。
二番刈り牧草では、穂の割合が大幅に減少し、茎も細くなります。茎の太さは1-2mm程度で、長さも20cm程度と短くなります。葉の割合が増加するため、全体的に柔らかそうな印象を与えます。色合いも一番刈りよりも鮮やかな緑色となる傾向があります。
三番刈り牧草は、ほぼ葉のみで構成されており、茎は非常に細く短いものしか含まれていません。まるで細かく刻まれた野菜のような外観で、最も均一な見た目を持っています。
これらの見た目の変化は、牧草の品質を判断する際の重要な指標となります。うさぎのしっぽによると、パッケージを通して見える牧草の状態から、ある程度の品質や刈り取り時期を判断することが可能です。
また、色合いの変化も重要な判断材料となります。新鮮な牧草は鮮やかな緑色を保っていますが、保存状態が悪いと黄色く変色したり、茶色に変化したりします。
うさぎの年齢別牧草選びのポイント

仔うさぎ期の牧草選び
仔うさぎ期の牧草選びは、成長に必要な栄養素を適切に供給するために最も重要な時期です。生後6ヶ月未満の仔うさぎは、成体とは全く異なる栄養需要を持っているため、特別な配慮が必要になります。
生後3-4ヶ月の仔うさぎには、高タンパク、高カルシウムのアルファルファが適しています。この時期のうさぎは急激な成長を遂げるため、タンパク質15%以上、カルシウム1%以上の栄養が必要です。アルファルファは、これらの栄養需要を満たすのに最適な牧草といえます。
ただし、アルファルファは繊維質が少ないため、消化器官の発達を促進するためにチモシーとの併用が推奨されています。獣医師の指導によると、アルファルファ70%、チモシー30%の割合で混合することが理想的とされています。
生後4-6ヶ月になると、徐々にチモシーの割合を増やしていきます。この時期は、消化器官が発達し、成体に近い食事パターンに移行する重要な時期です。二番刈りや三番刈りのチモシーを使用することで、仔うさぎでも食べやすい環境を整えることができます。
食べ方の観点から見ると、仔うさぎは成体よりも小さな口を持っているため、長い茎や大きな葉は食べにくい場合があります。そのため、細かくカットされた牧草や、自然に細い二番刈り、三番刈りを選択することが効果的です。
成長期から成体期の牧草選び
成長期から成体期への移行は、牧草選びにおいて最も慎重な判断が求められる時期です。この時期の適切な牧草選択は、うさぎの生涯にわたる健康に大きな影響を与えます。
生後6ヶ月から1歳までの成長期では、アルファルファからチモシーへの完全な移行を行います。この時期のうさぎは、まだ成長に必要な栄養素を必要としている一方で、過剰な栄養摂取による肥満リスクも考慮する必要があります。
移行方法として、まず二番刈りや三番刈りのチモシーから始めることが推奨されています。これらの牧草は一番刈りよりも柔らかく、食べやすいため、仔うさぎ期からの移行がスムーズに行えます。専門家の見解によると、この時期に無理に一番刈りを与えると、牧草を食べなくなるリスクがあるため注意が必要です。
1歳以降の成体期では、一番刈りのチモシーを主食として確立させることが重要です。この時期のうさぎは、高い繊維質を含む一番刈りによって、適切な歯の摩耗と消化器官の健康維持を図る必要があります。
個体差への対応も重要な要素です。一番刈りを食べにくいうさぎには、二番刈りとの混合や、段階的な移行を行います。また、運動量の多いうさぎには一番刈りの量を増やし、運動量の少ないうさぎには適量を維持することで、体重管理を行うことができます。
高齢期(5歳以降)になると、再び柔らかい牧草への移行を検討する場合があります。歯の摩耗や消化機能の低下により、一番刈りが食べにくくなった場合は、二番刈りや三番刈りを活用することで、栄養摂取を維持することができます。
まとめ
うさぎの牧草選びは、品種の特徴から刈り取り時期の違い、そして年齢に応じた適切な選択まで、多くの要素を考慮する必要があります。チモシーとアルファルファの基本的な違いを理解し、一番刈りから三番刈りまでの特徴を把握することで、愛するうさぎに最適な食事環境を提供できるでしょう。
また、仔うさぎ期から成体期、そして高齢期まで、それぞれのライフステージに応じた牧草選びを行うことで、うさぎの健康を長期にわたって維持することが可能になります。日々の観察を通じて、うさぎの食べ方や健康状態を把握し、必要に応じて牧草の種類や刈り取り時期を調整していくことが大切です。
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